アメリカの新型コロナウイルスはNYが起源

昨日のNY Timesより。ウイルスの遺伝子型を調べると、NY型とWA型(ワシントン州はシアトルのある州で、アメリカで一番最初にCOVID-19の患者が報告されたところ)の2種類に分けられること、そして東部州は当然として、西部の州でもNY型が多数を占めることが判明したという記事です。

10サンプル以上採取解析可能であったアメリカ22の州での調査結果をまとめたものが上の図です。黄色がWA型、赤がNY型の割合を示しています。ワシントン州のみWA型がNY型を上回りますが、それでもNY型はWA型に近い割合を占め、その他の州では、太平洋側の州ですらNY型が多数を占めています。

5/3のクォモNY州知事のメッセージ

– ウイルスの侵入経路について,5月1日発表の疾病予防管理センター(CDC)の報告書によれば,2月1日頃にはウイルスはワシントン州には中国から入ってきたとみられる一方で,NYには中国ではなくヨーロッパからウイルスが入ってきたとされる。同報告書は,ヨーロッパからの入国禁止措置が遅れたことが3月の米国内での感染拡大につながったと分析しており,入国制限措置は全世界を対象としてもっと早期に検討されるべきであったと指摘している。

ヨーロッパから流入したウイルスの方が致死率が高いのはほぼ確実で、NYでは約8%の患者が死亡していますが、WAでは約3%です。

ウイルスがいつから世界に拡散し始めたかについてはまだ不明ですが、日経新聞5/6の記事に興味深い内容があります。

新型コロナ、仏で19年12月にすでに感染者 経路は不明

新型コロナ中国・台湾ヨーロッパ2020/5/6 2:22

【パリ=白石透冴】フランスで2019年12月の時点で、新型コロナウイルスに感染した人が出ていたことが分かった。仏メディアが報じた。これまで欧州での最初の感染例は20年1月24日にフランスにおいてとされていた。中国・武漢市で急拡大したウイルスが世界にどう広がったかを明らかにする手掛かりになる可能性がある。

感染していたのはパリ郊外ボビニーに住むアルジェリア生まれの40代男性。19年12月27日、近くの病院をせきや発熱などの症状で訪れ、一時は人工呼吸器が必要な状態に陥ったが回復した。

同病院が19年12月以降に肺炎などで訪れた24人分の検体を調べ直したところ、男性の感染が判明した。男性の子供も当時インフルエンザのような症状が出ており、感染していた可能性がある。武漢では少なくとも19年12月には感染拡大が始まっていたとされる。

男性に中国への渡航歴はなく、感染経路は分かっていない。仏メディアは男性の妻がスーパーの鮮魚コーナーで働いており、近くで中国出身の人たちがすしを売っていたと伝えている。妻に新型コロナの症状は出ていないという。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58792740W0A500C2000000/

昨年12月の段階で世界に広がり始めていたことを示唆します。(ウイルス検査の特異度は高い(検査陽性なら確実に陽性といえる)のでかなりの確率で真実です。)

今後の調査の進展を待たなくてはなりませんが、以下のような推測が成り立ちます。

  • 中国からヨーロッパへのルートと、中国からアジアへのルートがあったこと
  • 二つのルートでウイルスは変異したこと(あるいは最初から別の遺伝子タイプだったかもしれません)
  • アメリカで流行しているのはヨーロッパ由来のNY型ウイルスであること
  • NY型は伝染力が強く、おそらく致死率が高いこと

そして、今まさに日本で流行しているのは致死率が高いヨーロッパ型のウイルスかもしれません。

いずれにせよ、発生源が中国なのは確実なので、中国政府は海外からの研究者も受け入れた上で徹底的な調査とパンデミック対応の妥当性に関する検証が必要です。

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